川を渡るときに、「一級河川 〇〇川」という標識を見たことはありませんか?
私が初めてこのような標識を見たのは、東京都と神奈川県の県境を流れる多摩川でした。
海に近い二子玉川の近くでしたので、川幅が広くて水量もかなりなものです。
その時から、一級河川っていうのは大きい川なことを言うんだろうなぁ、すごいなー!と思っていました。
しかし歳を取り、色んな地域を訪れる機会が増えると、一級河川=広くてデカい川、ではないことに気づきました。
ほんとちょろちょろ~としか水が流れていない川でも一級河川を名乗っているのです。不届き者が!
実は、川の規模と一級河川かどうかは関係ないんですね!
では、一級河川とは何か?について説明させて頂きます。
一級河川と二級河川の定義

川について定めている河川法(1956年制定)で、一級河川と二級河川について書かれています。
「一級河川」とは、国土保全上又は国民経済上特に重要な水系で政令で指定したものに係る河川(公共の水流及び水面をいう。以下同じ。)で国土交通大臣が指定したものをいう。(河川法第4条)
「二級河川」とは、前条第1項の政令で指定された水系以外の水系で公共の利害に重要な関係があるものに係る河川で都道府県知事が指定したものをいう。 (河川法第5条)
簡単にいえば、
一級河川は、国土交通大臣が指定した川
二級河川は、都道府県知事が指定した川
国土保全上又は国民経済上特に重要な水系で、とあるように、洪水などの災害が大きいと想定される川や、日常用水道・発電など経済的に影響が大きい水系が一級河川、または二級河川に指定されています。
特に重要な川は国土交通省が管理して、その次に重要な川は都道府県が管理するイメージですね。
水系とは?

一級河川の説明で、「水系」という単語が出てきました。
水系とはどういう意味でしょうか?
ウィキペディアの説明を借りますと、
水系(すいけい、英語:drainage system)は、河川に関連する用語である。ある河川とそれに合流する他の河川や内水面(湖沼や池)、さらには分岐する河川を含めた、流路を部分的に共有する河川や湖沼全体を体系化した概念と、その概念に基づく分類をいう。
川は分岐や合流した時に、同じ流れにあるのにもかかわらず川の名前が変わります。
水系は、海からその流れの一番先までを含めた流れのことをいいます。
たとえば、流域面積が日本一で有名な利根川は、上流のほうにさかのぼっていくと、鬼怒川とつながっています。
ですので、鬼怒川は利根川水系の一部ということになります。
利根川水系は支流が815河川もあり、利根川に直接合流する支流は大河川が多いです。
例えば、鬼怒川は176kmもあり、関東地方の大河川である荒川(173km)よりも長いのです。
話が逸れましたが、利根川水系すごい!
なお、水系にも一級水系と二級水系があります。
一級水系は一級河川を本流とする水系であり、二級水系は二級河川を本流とする水系です。
例えば、利根川は一級河川ですので、利根川水系を流れる815もの河川はすべて一級河川になります。
逆に、花見で有名な目黒川は二級河川であり、目黒川水系はすべて二級河川です。
一級河川と二級河川 どっちが多い?
一級河川は14048本あり、二級河川は7078本あります。
大幅に一級河川のほうが多いですね。
一級のほうが希少価値がありそうなのに、なぜだろうか?
さきほど水系の説明にあったように、一級河川が流れる水系に含まれる川はすべて一級河川になります。
利根川や信濃川のように長い川は一級河川に指定されているため、その支流の数もすべて一級河川なので、結果的に一級河川の数がすごく多くなります。
そのため、二級河川よりも一級河川のほうが多いのです。
まとめ 影響力が大きい川は一級河川
では、少し復習してみましょう。
一級河川とは、国土交通大臣が指定した川のことで、国土保全上又は国民経済上特に重要な川のことです。
「国土保全上」とは、洪水、高潮等の災害が発生した場合に想定される人命、財産等の被害が大きく、この防止が国家的な見知から治水上重要であること
「国民経済上」とは、上水道、工業用水道、灌漑、発電など河川の利用の影響度が一地方の経済にとどまらず、国家的に見て大きいものであること
リンク:http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/iken/question/faq_index.html
簡単にいえば、私たちの生活に対する影響が大きい川は一級河川、ということになりますね。
記事の冒頭で、川の規模と一級河川かどうかは関係ない、と書きましたが、規模が大きい川=影響が大きい川、となりやすいので、関係ないという言い方には語弊がありますね。