「恵方巻の廃棄に様々な意見あり」 現場から実情について書いてみた

恵方巻

 

今年も2/3節分が終わり、去年に続いて「恵方巻の大量廃棄」が話題になっています。

私はスーパーマーケットの惣菜部門に勤めていましたので、節分というイベントの内情についてそれなりに理解しています。退職後もスーパーの元同僚と交流があり、今年の節分についても話を聞きました。

現在、大きな流れとしての「大量廃棄は悪」という報道にすごく違和感を感じるので、節分について思うことを現場を知る人間として書くことにしました。

異論もあるかと思いますが、スーパーの事情も知ってあげて、理解してあげてほしいと思います。

 

なぜ恵方巻の大量廃棄が発生するのか?

 

まず、なぜ恵方巻の大量廃棄が発生するのか?について考えてみましょう。

そもそも「大量」とはどの位の量を指しているのか?節分に限らず、スーパーの日々の運営で廃棄が出ることはあります。

一番大きい要因は天候です。もちろん天気予報を見て製造数量を決めますが、予報は絶対ではありませんし、たとえ雨天だったとしても来てくれるお客さんがいる以上、それなりに商品がないといけません。特に昼間が晴れで夜に雨が降った時は廃棄が出やすい。客足が一気に遠のくためです。

また、店舗の方針によっては、あえて廃棄覚悟で商品をそろえることもあります。多少の廃棄を出してても、閉店間際に来店してくださるお客様の満足度を上げるためです。お客様にとって店の事情はどうでもよくて、商品がない=次は違う店に行く、という客離れは致命的です。

できるだけ廃棄が出ないように値引き販売して売り切る努力をしますが、意外とうまく売りきるのは難しく、閉店前に商品がなくなったり、逆に廃棄が出てしまうことがあります。従業員の腕次第、という部分があります。

以上の2つに加えた様々な事情により、多少の廃棄はスーパーの運営上やむを得ないのです。

 

スーパーでは毎日多少の廃棄は出る

  • 天候のため
  • お客様満足度のため
  • 値引きして売りきる努力はするが、ミスることもある

 

さて、本題の恵方巻です。

報道などでとんでもない量の恵方巻が捨てられていますよね?「多少の廃棄」ではありません。

自分もドン引きしています。「どうしてこうなったの?」と。

 

2/3の販売数量は前々から決まっている

 

節分は、年末年始商戦に続く一大イベントです。ミスする(量が足りない・売れ残る)ことは許されません。

前年のデータや店の売り上げ推移など、さまざまな指数を考慮して恵方巻の販売数量を決めます。

当たり前のことですが、量が足りない(チャンスロス)は論外で、廃棄(赤字)もいけません。程よい数量にすることが大事です。特にチャンスロスは来年の客離れにつながります。

夕方6時に恵方巻がなかったら、来年も同じ店に行きますか?

私なら違う店に行きます。客はシビアです。他に選択肢があるなら、確実に客離れにつながります。

このことを踏まえると、販売数量を決める時の心情として、チャンスロスを防ぐほうにウェイトが重くなります。このバランスがすごく難しい。

本番に廃棄が出るかどうかは、事前の数量決めにかかっているといっても過言ではありません。

あえてきつい言い方をすれば、「大量」廃棄が出るスーパーは運営者が無能です。捨てるということは原価すら回収できなくて赤字になるだけです。

コンビニの場合は、本社の思惑で数量が極端に多くなっていることがあるという噂がありますが、私はコンビニ運営について詳しくないので触れないでおきます。

 

当日の天候によっては売れ残ることも

 

節分の日はとんでもない数の恵方巻を製造する(もしくは仕入れる)ため、発注数量は前々から決まっています。

そのため、当日にたとえ雪が降ろうと製造して売るしかありません。2/4に売ってもまったく売れませんので。

天候が悪かったり、売れ行きが思いのほか悪い時は早めの値下げを実施して売りきる努力をすることになります。この判断はタイミングがすごく難しいです。

なぜなら、恵方巻が一番売れる時間帯は夕方です。一気に売れていくので、値下げは早すぎると逆に足りなくなることもあります。売れ残った場合は既に夜間なので、客数は少なく、値下げをしても売り切るのが難しくなります。結果的に廃棄が出ます。

先ほど述べたように、イベントにチャンスロスは厳禁なので、多少の廃棄は仕方ないというのが、運営者としては正しいスタンスです。あくまでも「多少の廃棄は」ですよ。

 

「売れる量だけ作れば良い」は間違い

 

売れる量だけ作れば廃棄が出ることはない。という意見を耳にしますが、そう簡単にできることではありません。

例えば個人経営の寿司屋さんや数店舗しかないような地元のスーパーならそれもできるでしょう。

確実に売れる量だけ製造して販売すれば、その分すべて利益になるので、経営方針としてはアリだと思います。しかし、確実にチャンスロスです。商品(恵方巻)さえあればもっと売れるわけですから。

個人の店はオーナーの考えでそれができますが、大手(上場企業)にはできません。

なぜならば、数字(利益・売上)を出さないといけないためです。最大限に。

例えば、恵方巻が100本売れる可能性があるのに、確実に売れる80本しか製造しないなんてことは許されません。特にイベントでは。

もちろん何本売れるかという予測は難しいのですが、きちんとデータを検証していればそこまでブレません。

もし、100本は売れるという予測が出ているのであれば、105本~110本製造するというのが数字を求める企業の考え方です。

 

廃棄を出したくて出しているわけではない

 

恵方巻を売る側は、廃棄を出したくて出しているわけではありません。捨てれば捨てるほど赤字になるわけですから。

もし、廃棄を出しても良いという前提で運営している企業がいるのであれば、それは根本的な考え方が間違っています。

 

廃棄が出るのは、単純に従業員がミスをしたからです。

製造数量の計画がずれていたか、値下げするタイミングを間違えたか、売れる時間帯に商品を売り場に並べられなかったか。

様々な要因はありますが、どこまでが仕方なくて、どこまでがミスなのかは従業員の腕による部分があります。全員が優秀なわけではありません。経験値が足りない人もいます。

みなさんも仕事でミスをすることはありますよね?

恵方巻の廃棄が出るのは、単純にうまく売りきることができなかっただけです。なぜうまくいかなかったのかを検証することで、次年度の精度アップにつながります。

大量廃棄はよくないことではありますが、捨てたくて捨てているわけではないことも理解してあげてほしいと思います。

節分はかなりきついイベントで、人員をフルに使って必死に恵方巻を作ります。朝6時から出勤したり、パートさんに長時間の残業をお願いしたり、前々から準備をして本番に挑みます。

一生懸命にやって、作った恵方巻を捨てることになって悲しまない従業員はいません。その人なりにマジメに判断した結果、間違えて廃棄が出ることもあります。

来年にもっと良い管理ができるようになるための犠牲だともいえます。経験なしに成長する人間はいません。

 

私は、大量廃棄は仕方ない、とは言っていません。ただ結果的に上手くいかなくて、そうなってしまうこともあると思います。

そうならないためにも、しっかりした教育や事前計画が必要です。そのあたりで手抜きをしている企業は今後生き残れません。大量廃棄が出る店はスキルが足りていません。

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