もやしの原価はいくら?もやし業者が破綻する原因は?

 

先日、もやし業者が加入している「もやし生産協会」が、もやしが安売りされている現状について訴え、大きな話題になりました。

確かに現在、大手スーパーでは、もやしが10円前後で売られているのをよく見かけます。また、もやしを1円で安売りしたことで、独占禁止法に引っかかった愛知県のスーパーもありました。

しかし、この一連の報道で腑に落ちない部分があります。

スーパーでもやしが激安で売られているせいで、もやし業者が赤字だ。

ほとんどの報道はそう言っていますが、原因はそこではないように思います。

もやし業者にとって大事なことは、もやしが〇〇円で販売されているかではなく、スーパーが〇〇円でもやし業者から買うか、なのです。

極端に言えば、スーパーが10円で売ろうが、1円で売ろうが、そんなことはどうでもよくて、スーパーがもやし業者から仕入れる時の値段が一番大事です。

販売店(ここではスーパー)が生産業者(もやし業者)から商品(もやし)を買うことを仕入れといいます。


でも、スーパーで安く売ってるってことは、もっと安い値段で仕入れているんじゃないの?
トウシロウ

トウシロウ
いや、実はそうともかぎらないんだよ。

 

もやしの原価はいくら?

 

では、もやしの原価はいくらなのだろうか?

もやしというと激安なイメージがありますが、ちょっと値段が高めの高級もやしも販売されています。

話がややこしくなってしまうので、ここでは一番安く売られている層に限ります。

スーパーで10円前後で安売りされているもやしは、もちろん企業ごとで差は出ますが、8円~15円前後が多いです。

仕入れている量によって原価は変わります。大量仕入れによって運送コストは下がるし、生産者一人当たりの生産量が上がるためです。

 

もやしが安売りされている原因

もうお気づきだと思いますが、スーパーが安売りしているもやしは、原価とほぼ同じ、ヘタしたら原価割れしています。

もやしを売れば売るほど赤字だということです。赤字ではないところでも、利益にはほとんどなっていないでしょう。

なのになぜそんなに安く売られているのでしょうか?

理由は単純で、客寄せのためです。

もやしを売って儲けようとしているのではなく、もやしが安いことによって、店全体に安いイメージがつき、その結果お客さんに来てもらうためです。

例えば、もやしを1パック売ったら5円の赤字だったとしても、もやしを買った客さんがキムチ(1パック50円の利益)も買ってくれたら、もやしとキムチを合わせたら45円の利益になるわけです。

キムチじゃなくても、ひき肉でもお刺身でもかつ丼でも、なんでも良いです。

スーパーは単品単品(もやしだけ)で儲けるのではなく、全体の売上の中で、利益がどの位なのかが重要なのです。

最近業績好調のスーパーによく見られる手法ですが、各カテゴリーの重要商品は、ある程度利益を犠牲にして客数を増やす作戦をとっています。

例えば、納豆や豆腐、白菜漬け、うどんなど。それらのカテゴリーの中には必ずといっても良いほど、激安の値段で通年販売されている商品があります。

お客さんに、この店はいつも安いよ、と思わせるためです。実際安いのですが。

チラシで安い商品を見せて、店に来てもらうのと同じような方法です。

 

もやし業者の倒産が相次ぐ

 

話をもやし業者に戻します。

もやし生産者協会によると、2009年230社あったもやし業者は激減し、今年2017年には130社ほどになっているそうです。

原因は、人件費は上昇しているのに販売価格が下がり続けているためとしています。

それでは赤字になってしまってもう続けられないと、廃業になった業者が多いようです。



もやし業者を倒産に追い込んでいるのは誰?

 

私がすごく違和感を覚えているのは、

もやしを安く売りすぎているから、もやしの生産者が儲からなくて可哀そう(;O;)

という流れです。果たして本当にそうでしょうか?

 

もやしにかかわる人間は、作る人(もやし業者)と売る人(スーパー)、そして買う人(お客さん)がいます。それぞれ見ていきましょう。

 

まずはお客さん。

同じ品質のもやしが同じ場所で、10円と20円で売られていました。あなたはどっちを買いますか?ほとんどの人は10円のほうを買うでしょう。

客が値段ばっか優先するからどうのこうのっていう意見は、もやしに限らずよく見かけますが、それは仕方ない流れです。同じ品質なら安いほうが良いじゃん。それだけの話です。

値段で勝てない中小企業は付加価値をつけることに力を入れるべきで、戦うフィールドを間違っていると勝てるわけがありません。

なので、お客さんのせいでもやしが安くなって、生産者が困るのいうのは八つ当たりみたいなもんだと個人的には思います。

 

ではスーパーはどうでしょうか?

先ほどにも言いましたが、スーパーはもやしで儲けようなんて微塵にも思っていません。ただの客よせ商品です。安いもやしで利益を取ろうとしている企業があるのなら、先は長くないでしょう。

そして仕入先は、当たり前なことですが、できるだけ安い生産者を探します。立場が違うだけで、スーパーも私たちと同じお客さんです

「私達とスーパー」、「スーパーと生産者」は同じことです。できるだけ安い所で買い物をしたいのは当たり前のことでしょう。

 

さて、答えは見えてきましたか?

私が思うに、もやし業者が悲鳴をあげている原因はもやし生産者自身にあります。

 

生産コストが上がって、スーパーに売る値段が安くなっているから、倒産する生産者が多発した。

言い換えれば、業界内の生存競争以外の何物でもありません。

より安い値段でスーパーに売る生産者がいるから、高い生産者はつぶれる。いたって普通なことです。

100社以上減っても、もやしが安定供給されているということは、そもそも生産者が多すぎたともいえます。ライバルが多ければ価格競争になるのは仕方ないことです。

例えば、1袋10円でスーパーに売ったらみんな赤字なら、嫌でもみんな値上げしますよね?

そして生産者から値上げされたスーパーは、もやしを置かないというのは絶対にできないから、店頭の売価をあげるか、赤字覚悟で売り続けるかの選択になります。

結論をいえば、

もやしがスーパーで売られている値段はどうでもよくて、もやし生産者がスーパーに売ってる値段が大事なのです。

 

まとめ もやしがなくなることはない

 

今もやし業界で起きていることは、他の業界でもよくある生存競争です。

当事者は大変だと思いますが、社会の仕組みであり、仕方ないことです。生き残りたければ努力せよ。それだけのこと。

努力してもダメな時もあるでしょう。それも仕方ないこと。もやし業界に限ったことではありません。そりゃ可哀そうだとは思いますよ。

 

原価(生産者がスーパーに売る値段)が上がったらスーパーがもやしを置かなくなって、もやしが食べれなくなる、なんていうことを煽るメディアも見かけますが、少なくとも現状ではありえません。

今度ますますもやしの生産者が減っていきます。そしてどこかのタイミングで供給と需要のバランスが適正になります。

そのタイミングで原価の値上げが少しずつされるでしょう。もし原価が10円から一気に200円になったら、もしかしたらスーパーでもやしを売ることはなくなるかもしれません。お客さんが200円前後でもやしを買う率は非常に減るからです。

しかし、もやし生産者協会が、せめて40円で販売してほしいと言っているので、原価が40円より下でも、もやし生産者は商売が成り立つということです。

もやしがどこのスーパーでも40円で売られていたとしたら、あなたはもやしを買いますか?

買う頻度は減るでしょうが、一定な需要はあるはずです。

ならば、もやしがなくなることはありません。

 

要点を箇条書きでまとめると、

  • 大事なのは、売価ではなく原価
  • 需要と供給のバランスが適正になれば原価はあがる
  • もやしがなくなることは当分ありえない

 

余談ですが、激安もやしはほとんど栄養がないといわれています。

高い物には高い理由があり、安い物には安い理由があります。

私はもやしが好きというほどでもないので、あえて高い物を買うことはないのですが、もやし好きな方は試してみてはいかがですか?けっこういいお値段します。

 

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